バートン・マルキールと、チャールズ・エリスの共著で、マルキールが書いた『ウォール街のランダム・ウォーカー」と、エリスが書いた『敗者のゲーム』は、投資の世界のバイブルともいえる本です。その二人が、投資とは何かということについて、わかりやすい形で、あらためて決定版としてまとめたのが「投資の大原則」です。

マルキールとエリスに共通しているのは、投資は「単純明快にシンプルにするべき」ということです。

「投資の大原則」の参考ポイントを以下の5つにまとめました。

  1. 若いうちから貯蓄を始め、続ける
  2. 会社や国の制度を有効に活用する
  3. インデックスファンドで分散投資する
  4. 年に1度、資産配分を見直す
  5. 自分の決めた投資方法を守り、市場の動きは気にしない

若いうちから貯蓄を始め、続ける

すべてはお金を貯めることから始まります。お金を貯めるにはシンプルで、支出を収入よりも少なくすることです。自分の収入以上に浪費する生活、クレジットカードローンには手を出してはいけません。

早いうちから投資を始めれば、長い時間をかけることによって複利の力で資産は大きく膨らみます。投資をするには、タイミングが大切ですが、それよりも「いつから投資を始めるか」という方が重要です。

ウォーレンバフェットは、若い頃に使う1ドルは、8ドルと同じだけの価値を持っていると述べています。1ドルを投資に回せば、時間が経過すれば8ドル、あるいはそれ以上の金額になって戻ってくるという確信を持っていたからです。

会社や国の制度を有効に活用する

確定拠出年金である「401K」などアメリカの税制度を中心に述べていますので、日本でそのまま同じことはできませんが、日本においても「NISA」や「iDeCo」のような制度があります。通常、株の益や配当金は、約20%の税金がかかりますが、「NISA」や「iDeCo」を活用することでその分の税金が全くかからなくなります。

「NISA」や「iDeCo」をを利用しなかったとしても、投資の運用益にかかる税率は、一律約20%で、それ以上になるいうことはありません。住民税と合わせて最高55%まで税率が高くなる給与所得と比べて、税制面で優遇されている金融所得の割合を増やしていくことも国の制度を有効に活用することになります。

インデックスファンドで分散投資する

著者の2人とも、市場を構成する広範囲の株をまとめて買う「インデックスファンド運用」を推奨しています。インデックスファンド投資で有利な点は次の3つです。

  • 分散投資ができる
  • コストが低い
  • オーソドックスな分野に幅広く投資できる

優秀なファンドマネージャーであっても市場の平均であるインデックスファンドの成績を上回り続けることはできないというのは事実です。アメリカ株のインデックスファンドといえば、S&P500が代表的ですが、それよりも「全市場型アメリカ株」を推奨しています。S&P500アメリカ全体の70%しかカバーしておらず、残りの30%を占める中小企業の成長を取り込めないことが理由です。

年に1度、資産配分を見直す

リバランスという意味合いで、「自分が決めた資産配分の割合が変わらないように年に一度見直す」という意味です。例えば、株60%、債券40%で資産を保有している場合、株が大きく値上がりして、株80%、債券20%になった時は、株を売って債券を買って再び、株60%、債権40%の割合になるように調整します。

定期的にリバランスを行い、株が安い時には株を買い、株が高い時は株を売るというリターンを高める行動が自然にできるようになります。

自分の決めた投資方法を守り、市場の動きは気にしない

投資における最大リスクは、「自分の気持ちが変わってしまう事」だと言います。10%利益が出たら売却!と思っていたとしても、実際に10%の利益が出た時にはもっと上がるかもしれないからと売り損ねてしまうのが人の心です。

投資で失敗する一番の理由は、多くの人が株価が値上がりしている局面で高値で買い、暴落した時には慌てて底値で売ってしまうからです。

こういう事態を避けるために、下記の2つを守ることが重要です。

  • 投資を始めるときにはルールを決めること
  • そのルールを必ず守ること

投資をする上で自分の感情に惑わされないようにするのは難しいですが、「自分の決めた投資方法を機械的に実行する」ことでリターンを最大化することができます。

ということで「投資の大原則」の参考ポイントを要約しました。興味を持った方はぜひ実際に読んでみてください。参考になれば幸いです。